備忘録

日々の所感など


シンガポールに対するイメージと実情について

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シンガポールはよくゴミ一つ落ちていない綺麗な街と言われますが、結論から言うとこれは嘘です。もちろん、他の東南アジアの国に比べれば綺麗だと思いますが、タバコの吸殻や空き缶、ペットボトルの類が普通に道端に落ちてます。実際、こちらの人は誰もシンガポールがゴミ一つ落ちてない街などとは思っていません。おそらくこのフレーズは旅行会社か何かが誇張して作った宣伝文句が、日本国内で一人歩きしたものなのでしょう。

私がシンガポールに来る前に持っていたイメージは下記の通りです。

  • 緑豊かなガーデンシティ
  • ゴミ一つ落ちていない綺麗な街
  • 規則が厳しく、ゴミを捨てたり唾を吐いたりすると即逮捕 or 罰金
  • 一人当たり所得が日本以上、金持ちばかりの国

これらはあながち嘘ではありませんが、言葉通りの事実というわけでもありません。まず緑の多さですが、これは定義の仕方によると思います。例えば日本は国土の7割が森林であり、全体的に見ればシンガポールより日本の方が緑豊かといえます。とはいえシンガポールは世界的にも稀な都市国家であり、国土全体で比較するのは適当ではなさそうです。では都市部はどうかというと、一人当たりの公園面積がシンガポールが概ね5~7㎡と言われているのに対し、東京・大阪は3 ㎡台なので、確かにシンガポールの方が都市部としての緑は多そうです。実際、シンガポールの町並みを歩いていると街路樹の多さに気づきますし、中にはCapita Greenのようにビルの外壁に木々が植えつけられた建物も見られます。

次にゴミのポイ捨てや道端での飲食の件ですが、シンガポールではこれらの違反を犯すと即逮捕&高額の罰金を科されるというイメージがあったのですが、実際そういうわけでもないようです。というのも、道端で常に誰かが見張っているわけでもないので、仮にゴミを捨てたり唾を吐いたりしても、バレなければ罰せられることもないということなのです。無論たまたま警察官に見られたり、監視カメラの記録に残っていたりして捕まるというケースもあるかと思いますが、結局は個人のモラルによるところが大きいのではないかと思います。

最後に所得の件ですが、ご存知の通りシンガポールは一人当たりGDPで日本を抜き、アジアで最も豊かな国となりました。そのため、シンガポールで生活を始めた頃は道行く人々が全員金持ちのような錯覚を覚えたものですが、同時にある疑問も 覚えました。例えばホーカー(大衆食堂)の飲食店の従業員を見て、あるいは道端で工事を行っている土木作業員を見て、果たして彼らの年収は日本にいた頃の自分より上なのだろうか?と。おそらく必ずしもそうではないと思います。

というのも、シンガポールは6世帯に1世帯が金融資産百万米ドル以上の富裕層と言われており、日本よりも格差が大きい社会です。つまり、莫大な富を有する高所得者層によって平均値が引き上げられているのであって、中間層で言えば日本とそれほど変わらないのではないかと思います。とはいえ日本は20年以上に及ぶ経済の停滞と金融緩和に伴う円安の影響で、相対的に世界における所得の地位が年々下がってきています。このままではシンガポールはおろか、成長を続ける東南アジア諸国に追いつかれるのも時間の問題と思われます。

まとめると、シンガポールは実際のところそこまで美しい国というわけでもないし、かといって罰則ばかりで窮屈で生きにくいというわけでもないということです。誰かが作ったキャッチフレーズやイメージに踊らされず、実情を自分の目で確かめてみることが大事なのではないでしょうか。

 

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